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外国人投資家目線で見る、グローバル株式徹底比較!

2013年03月18日

第35回 番外編:外国人投資家目線で見るアベノミクス2

みなさん、こんにちは。『今どき、株で儲けるヤツは、「業種別投資法」を使っている』著者の長谷部翔太郎です。

長く低迷していた株式市場も活気が戻り、ついにリーマンショック前の水準を回復してきました。一部には早くもバブルを懸念する声もあるくらいです。しかし、過去にあった何度かのバブルは、あくまで経験的に云えば、こんなものではありません。確かに株価の上昇ピッチは急ですが、単にこれまでの低迷の反動が一気に出てきただけのように思われます。むしろ、この時点で「バブルでは?」と慎重な見方が出てきていることこそ、市場が健全な証拠と言えるでしょう。「強気相場は、悲観の中で生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成長し、幸福の中で消えていく」ものですから。

さて、35回目となる「外国人投資家目線で見るグローバル株式徹底比較!」は、先週に引き続き、「外国人投資家目線で見るアベノミクス」という視点で、もう少し言及してみたいと思います。前回は円安進行によって、日本の自動車産業が蘇える一方、これまで絶好調であった韓国の自動車産業はその勢いが大きく削がれるといった見方が一気に株式市場に浸透したことをご紹介しました。興味深いのは、韓国の好調は為替の追い風に追う部分が大きかった、と市場が判断したことでしょう。国際投資家は、韓国企業が追い風のないところでも疾走できるのかどうか、をこれから見極めていくことになります。

しかし、かつて日本の輸出市場で自動車と並んで両輪を担ったエレクトロニクス業界では、民生大手の株価が依然として低迷しています。もちろん、こちらも昨年11月以降の株価は上昇していますが、過去3年間の推移で見ると自動車株とのパフォーマンスの違いは明らかです。さらに言えば、競合している韓国のサムスン電子の株価も11月より約20%上昇しており、現代自動車が20%の下落となったのとは大きく異なる展開にあります。これは、円高という重石が外れたとしても、民生では自動車産業のように競争力が蘇ってくるとは株式市場から見做されていないことを示唆しています。マスコミなどでは不振の原因が円高であったかのように論じられることがありましたが、株式市場は決してそう判断していなかったのです。

そして実は、業績不振を円高のせいにして、本質的な競争力低下に頬被りしていた企業は決して少なくありません。アベノミクスによって生じた円安は、企業本来の競争力を否が応にも浮彫にさせ、そういった企業から弁解の余地を取り上げることでもあります。我々が急激な円安に浮かれている間に、海外企業と比較できる外国人投資家は為替に拠らない本質的な競争力を持つ企業への選別を一層進めていくはずです。アベノミクスは万能の特効薬ではなく、自社の怠慢を円高のせいにしていた企業を曝け出す劇薬でもあるのです。

為替と同様に、否、それ以上にアベノミクスで注目されるのはデフレ対策です。既にREITを含む不動産株は1年前から注目されてきましたが、これは下げ止まりを見越しての動きでした。しかし、デフレが解消され、その結果として資産価格の上昇が見込めるようになれば、評価の余地はさらに広がってきます。そもそも、所有権など法的整備が確立されており、生活インフラや治安も安心できる日本の不動産は、成長性で新興国に見劣りするとしても、国外の投資家にとってとても魅力的な投資先です。資産価格上昇の可能性が出てくれば、強烈な追い風となってくるはずです。新年以降は明らかにその傾向が株価にうかがえますが、これは国際投資家がデフレ脱却の実現可能性を真剣に考え始めた証左なのかもしれません。アベノミクス相場が本格的な強気相場となるかどうかはわかりませんが、これまでのところ、先の相場格言通り「悲観の中で生まれた後、懐疑の中で育ちつつ」はあるようです。

さて、「外国人投資家目線で見るグローバル株式徹底比較!」のコラムは、これまで35回の連載をさせていただきました。ご愛読いただき、ありがとうございます。株式市場が活況を取り戻す中、このコラムは一旦筆を置き、4月からは別の視点からのコラムに衣替えを予定しております。引き続き、ご愛読いただければ幸いです。


コラム執筆: 長谷部 翔太郎

証券アナリスト。日系大手証券を経て、外資系投資銀行に勤務。証券アナリストとして、日経や米Institutional Investor 誌などの各種サーベイで1位の評価を長年継続し、トップアナリストとして君臨する。外資系投資銀行で経営幹部に名前を連ねた後、現在は経営コンサルティング会社を経営する。著述業も手がけ、証券業界におけるアナリストのあり方に一石を投じる活動を展開。著書は、『今どき、株で儲けるヤツは、「業種別投資法」を知っている』『今どき、株で儲けるヤツは、「業種別投資法」を使っている』その他多数。 過去に「業種別アプローチで極める、銘柄選び」を執筆。

http://lounge.monex.co.jp/advance/sector/

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