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為替マーケットの攻略法

2015年05月08日

膠着感強まるドル円相場 昨年の二の舞か?

今夜はいよいよ米国4月の雇用統計が発表されます。市場予想では、失業率が前回の5.5%から5.4%に低下し、非農業部門雇用者数(NFP)は前回の+12.6万人から+23万人に改善する見通し。前回のNFPが寒波や港湾ストの影響で大幅に下振れしたことから、今回はその反動で予想を上振れする可能性もあり、一部では30万人超の雇用増を予想する向きもあるようです。

週次の雇用統計である新規失業保険申請件数もこのところ減少が続いており、最新のデータ(5月2日までの週)は4週平均で27.95万人と2000年5月以来15年ぶりの低水準を記録。雇用が順調に回復し、失業率が徐々に低下する傾向が続いていることを示唆しています。

一方、雇用の「質」に関しては、まだまだ十分な回復を示しているとは言えません。労働参加率は62.7%と1970年代以来の低水準となっており、平均時給の伸びも前年比で2%前後とインフレを押し上げるほどではありません。雇用は増えてもパートタイムが多く、賃金の上昇になかなかつながらないのです。FRBが算出する労働市場情勢指数(LMCI)は今年に入って悪化が続き、3月は約2年ぶりのマイナスに転落しました。

FRBは3月のFOMCでフォワードガイダンスを変更し、「労働市場がさらに改善し、中期的にインフレが2%目標に向かっていくと合理的に認めたときに利上げが適当になる」との方針を示しました。しかし労働市場の改善が一様ではなく、インフレが2%に向かっていくとはまだ合理的に判断しづらい現段階では、利上げは時期尚早と見るのが妥当でしょう。今回の雇用統計がたとえ予想を上回ったとしても、次回6月FOMCでの利上げの可能性は非常に低いと考えていいと思います。

雇用は量的には回復しているものの、質的な弛みは解消されていない。FRBは利上げに向けた地ならしを進めているものの、利上げ時期やペースについては依然不透明。この中途半端さがドル円相場にも現れており、フォワードガイダンス変更以後は118~120円台の非常に狭いレンジで膠着が続いています。テーパリング決定後に長期のレンジ取引が続いた昨年の動きとも酷似しており、残念ながらしばらく方向感が乏しい時間帯が続く可能性が高まってきたと思います。レンジを意識し、逆張りスタンスで小刻みな売買に徹するのが得策でしょう。

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さて、長らく執筆させていただいた当コラムですが、今回が最終回となりました。ご愛読いただきまことにありがとうございました。またどこかでお会いできる日を楽しみにしております。

コラム執筆:

雨夜 恒一郎 為替アナリスト

スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど大手外資系銀行で、20年以上にわたり外国為替部門の要職を歴任。2006年に独立し、自己資金運用のかたわら、フリーランスの立場で市況・予想記事を提供中。ファンダメンタルズ分析、テクニカル分析はもちろん、オプションなどデリバティブ理論にも精通する、「為替マーケットの語り部」。

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