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総合商社の眼、これから世界はこう動く

2017年10月03日

第177回 「サブサハラアフリカの選挙動向~民主化は進展しているのか~」

2017年8月にルワンダ、ケニア、アンゴラの3カ国で国政選挙が行われ、サブサハラアフリカ諸国の民主化の現状を表す三者三様の結果がみられた。

・ルワンダ大統領選挙(8月4日)
ルワンダでは現職のポール・カガメ大統領が98.8%の得票率で再選された。カガメ大統領は2000年以降大統領を務めているが、先立って2015年に国民投票による憲法改正を行い3選目の出馬を可能にしていた。
ルワンダは1994年に起こったジェノサイドの克服と国家再建を進めている途中であり、カガメ大統領の下、高い成長率を実現している。法律上は2034年までカガメ大統領の続投が可能となっており(注1)、国家発展に向けて引き続き強力なリーダーシップが必要との見方がある一方、長期政権の継続には国内外から批判の声も存在する。

・ケニア大統領選挙(8月8日)
ケニアでは現職のウフル・ケニヤッタ氏が得票率54.3%で、野党のライラ・オディンガ氏(得票率44.7%)を下して勝利したと選挙管理委員会が発表した。
しかし、選挙に不正があったとして野党側が最高裁判所に異議申し立てを行った結果、裁判所は選挙プロセスでの不正を認めて結果を無効とし、60日以内の再選挙を命じた。
今回のケニア最高裁の判決は、アフリカで選挙結果が法的に無効と判断された初めての例とされており、内外から驚きをもって受け止められた。また、権力を有する現職側が、裁判所の判断に異議を唱えながらもその結果を受け入れたという点も注目すべき点であろう。
10月26日に再選挙が行われることが発表されたが、選挙管理委員会メンバーの再任の可否等の問題を巡って依然対立があり、スケジュール通りに再選挙が行われるかは不透明である。

・アンゴラ総選挙(8月23日)
アンゴラでは、2017年2月に約38年間に渡って大統領を務めていたドス・サントス大統領が退任を発表していた。そして、今回の総選挙では与党のアンゴラ解放人民運動(MPLA)が6割以上の得票で勝利し、後任に指名されていたジョアン・ロウレンソ氏(元国防大臣)が9月26日に大統領に就任した。

大統領は交代したものの、与党は変わらず、依然ドス・サントス氏はMPLAの総書記であるため、アンゴラの国家運営方針に大きな変化はないと見られる。

以上のように、今回の選挙では、長期独裁の継続、選挙による民主的な政権交代(の可能性)、一党独裁与党内での指導者交代、という様々なパターンが見られた。

アフリカには依然、長期独裁を行う国家元首が存在し(下表)、民主化の進展や政治リスクに対する懸念が多いのが実態であろう。しかし、長期独裁国家では国家元首の高齢化がすすんでおり、後継問題が顕在化していくにつれ、アンゴラのように「長期独裁の継続」から「一党独裁与党内での指導者交代」といった国が増えることが予想される。

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また、ケニアのように与野党が拮抗する国では選挙を重ねるにつれて政権交代の確率が高くなり、「選挙による民主的な政権交代」のケースも増えてくるであろう。既にナイジェリア(2015年5月)やベナン(2016年3月)のように、選挙を経て民主的に政権交代が行われる国が増えている。また、ガンビアでは長期独裁からの政権交代(2017年1月)といった例もみられた。

政権交代に伴う武力衝突の可能性や、一部の国では依然クーデターのリスクなどが存在するのも事実であるが、総じて緩やかに民主化が進展しているといえよう。

今後、ケニアの再選挙がスムーズに行われるのか、また、年末に予定されているコンゴ民主共和国の大統領選挙(注2)が予定通り行われるのかが、サブサハラアフリカにおける民主化の進展度合いを示す重要なイベントといえる。(注3)
この2つのイベントが無事に実施されれば、サブサハラアフリカの政治リスクに対する見方が更に改善していくことが期待されるため、注目しておく必要がある。


(注1)2015年の憲法改正で大統領任期を7年から5年に短縮し、再選を2期までとした。しかし、改正憲法は2024年から適用され、改正憲法の下ではカガメ氏も再度2期出馬できる仕組みとなっているため、最長2034年まで大統領を続けられる可能性がある。

(注2)本来2016年12月に実施予定であったが、現職のカビラ大統領が実施を拒否し、任期を越えて大統領職についている。

(注3)その他、国政選挙ではないが南アフリカ共和国では12月に政権与党ANCの党首選挙が行われる予定であり、2019年に予定されている大統領選挙を占う上で注目が集まっている。


コラム執筆:常峰 健司/丸紅株式会社 丸紅経済研究所

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