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小宮一慶の経済ココに注目!

2012年02月29日

日銀の新物価目標は機能するか・・・日本の消費者物価指数と日銀当座預金に注目

日本銀行が消費者物価の上昇目標を明示しました。1%程度とのことですが、「インフレターゲット」とまでは表現していないものの、市場では日銀のスタンスがこれまでより一歩踏み込んだと見ています。これにより、今後、この目標に近づけるために、市中に供給する資金量も増加させると見られています。これとともに、ギリシャ情勢が少し落ち着きを見せたこともあり、日経平均も上げ、為替レートも1USドル=80円を超える水準にまで円安が進みました。

物価上昇の1%という目標は、現在の10年物の国債金利とほぼ同水準で妥当な目標と言えます。これよりも高い目標を設定すると、国債の利回りが上がり、国債価格の下落をもたらす恐れがあるからです。

現状の日本の消費者物価指数前年比はわずかですが下落を続けており、デフレの状況から脱却できていません。輸入物価が上昇していることから、企業の仕入れを表す企業物価指数は前年比プラスを続けていることを考えれば、消費者物価の下落は、企業収益を圧迫し、それが賃金下落をもたらし、さらに物価を下げるというデフレスパイラルに陥るリスクがあります。このデフレの状況を脱却することは、日本経済にとり非常に重要であり、それに日銀が前向きに対応していこうとする姿勢は評価できるものです。

また、物価が下落する中で、表面金利は低いものの、実質金利で見た場合に現状の金利水準は決して低いとも言えず、そのことが資金需要をさらに小さくするという状況を生んでいます。

そうした状況で物価を上昇させるには、通貨量の供給を増やすことが有効と考えられ、日銀は市中への通貨の供給量を増やす意向です。ただ、資金需要が増えない中で通貨量を増やすと、市中銀行が貸出しやその他の運用で使えない資金が日銀に還流してきます。具体的には銀行などが日銀に置く当座預金(日銀当座預金)の残高が増加することになります。これでは、物価上昇の効果が出ません。現状30兆円前後の日銀当座預金の残高がどこまで増加するのか、それとも市中でその増加した資金が使われ、物価が上昇するのかに注目が必要です。物価が目標通り上昇することとなれば、日本の景気も底上げされていくことが考えられますが、日銀当座預金残高が増えていくだけでは、デフレスパイラルからの脱却は難しいと言えるでしょう。日銀の期待通りに物価が上昇するかに注目が集まるところです。

コラム執筆:

小宮一慶

経営コンサルタント。企業規模、業種を問わず、幅広く経営コンサルティング活動を行う一方、年百回以上の講演を行う。経営、会計・財務、経済、金融、仕事術から人生論まで多岐にわたるテーマの著書を発表。

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