[ ここから本文です ]

小宮一慶の経済ココに注目!

2012年03月07日

国内企業物価指数の動きに注目

日銀が物価上昇の目標を1%程度と発表し、デフレ傾向が続く消費者物価の今後の動向に注目が集まっていますが、同時に国内企業物価指数の動きにも注意が必要です。なぜならこの数字は、企業の仕入れ価格の動きを表しており、企業業績に大きく影響するからです。

2011年初から年末あたりまでは、輸入物価が資源価格の上昇などにより、円高にも関わらず10%程度の上昇を続けていました。そのこともあり、国内企業物価指数は、昨年の9月までは2%台の上昇でした。それ以降も、2011年末までは1%台の上昇でした。一方、消費者物価は前年比で0%を挟んでわずかな上昇と下落を繰り返し、ほとんど上昇しないというよりはわずかですが下落傾向のほうが強い感じでした。

つまり、企業は、仕入れ価格は増加するものの、増加分を最終製品に転嫁できない状態が続いていたのです。原材料に近いところでは、ある程度の価格転嫁は進んでいたのですが、最終消費財に近くなればなるほど、仕入れ上昇分の価格転嫁がしづらい状況にあったのです。当然のことながら、企業はその分、収益が圧縮されますから、人件費などの他の経費を削るなどして利益の確保に躍起になります。事実、厚生労働省が毎月発表する「現金給与総額」も増えない状態が続いています。

給与が伸び悩めば、当然のことながら消費支出も伸び悩みますから、デフレ傾向からなかなか脱却できないという状況となります。デフレスパイラルに陥る危険性もあります。
ところが、比較的高い上昇率だった輸入物価指数が2012年に入り1月が1.9%の上昇と、上昇幅がかなり小さくなりました。それに呼応して国内物価指数も上昇幅が小さくなり、前年比で0.5%の上昇にとどまりました。

今後、この傾向が続き、国内企業物価指数の上昇が抑えられ、日銀の思惑通り消費者物価が上昇に転じれば、企業としては利ザヤが広がり、利益が増加することになります。そうなれば賃金の上昇余地が生まれ、消費がさらに伸び、物価も安定的に上昇するという、今度は良いスパイラルに入る可能性があります。日本では、家計の支出がGDPの55%強を占めますから、賃金の上昇が国内景気全体にもたらす影響は大きいのです。
いずれにしても、今後の企業業績を占ううえで、消費者物価の動きとともに、国内企業物価指数、さらにはそれに大きな影響を及ぼす輸入物価指数の動きに注意が必要です。

コラム執筆:

小宮一慶

経営コンサルタント。企業規模、業種を問わず、幅広く経営コンサルティング活動を行う一方、年百回以上の講演を行う。経営、会計・財務、経済、金融、仕事術から人生論まで多岐にわたるテーマの著書を発表。

口座開設をお考えのお客さま

口座開設・資料請求(無料)

全てのお取引はこちらから

ログインはこちら

 マネックス証券からのご留意事項

「小宮一慶の経済ココに注目!」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。

マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。
商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。

↑画面上部へ