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小宮一慶の経済ココに注目!

2012年03月21日

米貿易赤字額に注目

米国経済が、力強さはそれほどないものの、徐々に回復の兆候が見えはじめたのにともない、米ドルが買われています。80円を切る円高水準からは少し解放された感じです。それにより、日本の株価も徐々に水準を切り上げつつあります。

米国の指標では、失業率や非農業部門の雇用も改善していますが、自動車販売台数が今年2月の年換算で1,500万台を超えました。景気が良かった2007年には1,600万台を超えていたのが、リーマンショック後の2009年には1,040万台まで落ちていました。それがほぼ、調子が良かったころの水準に戻ったと言えます。住宅着工はいまだにピークの3分の1程度ですが、米国経済にも少し明るさが見えています。

私が今、注目しているのは、米国の貿易赤字額がこの先拡大するかということです。欧州経済が金融危機や財政緊縮で停滞感が強まる中、中国経済も成長率を少し落とし加減です。中国の最大の貿易相手地域はEUですから、欧州景気後退の影響を中国経済は受けやすいのです。そして、日本の最大の貿易相手国は中国ですから、もちろん、日本も欧州経済停滞の影響を間接的、直接的に受けることになります。

そうした中、世界経済をけん引できるかは短期的には米国の力に頼るところが非常に大きくなります。米国は今でも世界のGDPの約4分の1を稼ぎ出す国です。そして、米国の個人消費はそのGDPのおよそ70%を支えています。つまり、世界のGDPの約18%は米国の個人消費にかかっています。それに関連して、米国は世界中から大量の物資を輸入しており、景気の良い時には8,000億ドル(2012年3月20日のレートで約67兆円)もの膨大な貿易赤字を計上しています。

これは裏を返せば、それだけの物を世界中から輸入しているということです。その貿易赤字額が、リーマンショック後の2009年には5,000億ドル程度まで縮小しましたが、2011年には7,200億ドルを超える水準まで再度貿易赤字が拡大しています。そして、その額は増加傾向にあります。つまり、世界中からものを買うペースが上がっているということです。

このことは、中国をはじめとする新興国経済にももちろん良い影響を与えますが、米国の貿易赤字額の約1割は対日赤字で、日本の輸出産業、ひいては日本経済にも良い影響を与えます。

火力発電所がフル稼働の影響でLNGの輸入が急増し、さらには円高の影響で輸出額が減少し、貿易赤字の傾向が続く日本経済ですが、米国経済復調のおかげで円安と貿易赤字縮小が進めば、東日本大震災の復興需要とあいまって、短期的には経済がプラス方向に動く確率が高くなります。米国の貿易赤字額がどこまで拡大するかに注目です。

(※当連載は3月21日分を以って最終回となります。半年間の間、ご購読いただきありがとうございました。)

コラム執筆:

小宮一慶

経営コンサルタント。企業規模、業種を問わず、幅広く経営コンサルティング活動を行う一方、年百回以上の講演を行う。経営、会計・財務、経済、金融、仕事術から人生論まで多岐にわたるテーマの著書を発表。

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