昨年は本格的なバランスファンドが登場したバランスファンド元年でした。
「本格的な」というのは
・販売手数料がかからないノーロードファンド
・信託報酬が1%以下
・インデックス運用を組み合わせている
という意味です。それまでのバランス型ファンドが、資産配分とそれぞれの資
産の運用のどちらから収益が出ているのかがわかりにくかったのを改善し、資
産の運用は平均点(インデックス)で資産配分に運用のフォーカスを当てたと
いうのが新しい点です。
1月に「マネックス資産設計ファンド」が先鞭をつけ、3月にセゾン投信が参
入し、マーケットが拡大しました。今年に入ってからも追従するファンドが続
き、「スゴ6」「投資生活」というネット証券専用ファンドも加わりました。
金融商品はせっかくのアイディアもすぐにマネされてしまう宿命にあります。
低コストインデックス型バランスファンドというアイディアもあっという間に
同じ運命を辿ったのですが、残高を見ると、後発の2ファンドは設定間もない
こともあり、残高は10億円以下となっています。
4月6日の日経新聞では国内の代表的な上記4本のバランスファンドの比較を
行っています。この記事では4ファンドの違いについて、REITが入っているか、
と外貨建て資産の比率、の2点を指摘しています。しかし、それは4ファンドの
本質的な違いではありません。
■ 単純割り?時価総額?それとも戦略的?
バランスファンドは資産配分が命です。その資産の配分方法(アセットアロ
ケーション)の決定方法にはいくつかの考え方があります。
4ファンドを比較すると「スゴ6」と「投資生活」は切りの良い数字での単純
割りになっています。
また「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」は株と債券をま
ず半分ずつにして、それぞれの中では時価総額の比率で国別配分を決定してい
ます。市場に合わせる、という考え方です。
一方の「マネックス資産設計ファンド」はイボットソン・アソシエイツ・ジャ
パンが配分を決定しています。具体的な決定方法は
・まず、各資産の期待リターンをビルディングブロック法などを使って推計し
ます。
・次に、過去の変動率(リスク)データを使い、期待リターンとリスクから、
決められたリスク水準で最も高い期待収益率が得られる(つまり効率的フロ
ンティア上にある)資産の組み合わせを算出します。
効率的な組み合わせの考え方(PDFファイル、6ページをご覧ください)
http://www.monex.co.jp/pdf/fund2/U673.pdf
この方法は、イボットソンが推計する期待リターンが長期的に実現すること、
変動率(リスク)が将来も大きく変わらないことが前提になっています。つま
りイボットソンのスキルが結果に影響するということです。
■ リバランスと戦略的アセットアロケーション
そのイボットソンが助言する「資産設計ファンド」の戦略的アセットアロケ
ーションが4月1日から変更されました。日本株の配分が減り、外貨資産と不動
産の配分が高くなりました。これは推計している期待リターンの定期的な見直
し、と変動率の過去データが更新されたことによるものです。この見直しタイ
ミングでファンドのリバランスも行われるようです。
最新の月次レポート(PDFファイル、3ページをご覧ください)
http://www.monex.co.jp/pdf/fund2/M673.pdf
このような変更は戦略的(ストラテジック)アセットアロケーションの見直
しであって、相場観に基づいて資産配分を意図的に歪ませる戦術的(タクティ
カル)アセットアロケーションとは異なるものです。少しでも効率的にリスク
を取る一貫性のあるアプローチの中での定期的な調整ということができます。
資産間の相関関係やリスクが変わってくれば、それに伴う資産配分も少しずつ
変わってくるというのは当然のことだからです。
単純割り、時価総額、戦略的・・・短期的には、どの方法が良いのか見えな
いと思いますが、アプローチ方法の違いは数年後にはリターンに影響を与える
ことになると思います。
今回の話のまとめ---------
■ バランスファンドは資産配分が命
■ 資産配分決定手法はファンドによって違いがある
■ 手法の違いによる差が、結果として見えるまでには時間がかかる
ではまた来週・・・。
(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の
意見とは必ずしも一致しません。)
内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
http://www.monexuniv.co.jp

