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臼田琢美のマーケット万華鏡

2017年05月12日

第7回 マーケット動向/チケット高額転売問題の原因と解決策はズバリこれだ!【マーケット万華鏡】

前回、米ドル円日足チャートで「窓」を開けたことでマーケットが大きく変化し、新たなトレンドが出現する可能性について書きました。これだけ見事にハマるのもそうそうありませんが、良いタイミングでお話しできてなによりです。さて、ではここからどうなるか?現状は高値もみ合いで一服となっていますが、一応まだ上昇トレンドをキープした状態です。

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ここで、米ドル円と日経平均の比較チャートを見てみましょう。3ヶ月前を起点0にして変動率を表示しています。青が米ドル円で赤が日経平均です。奇しくも米ドル円は3ヶ月前とほぼ同じ水準。リスクオフでドル売り円買いとなったのが消え去った状態です。一方の日経平均は下落も大きかったけど、ここに来ての上昇は明らかに強くなっています。

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日足チャートで見ても、日経平均の強さを証明するかのように何度も窓を開けて上昇し高値更新しています。米ドル円も強いのですが高値は更新していないし、様々な状況から考えてもどんどん米ドルが上昇するのは難しい気がします。まだ日経平均の方が勢いを感じます。このシッカリした状態の内に景気や業績に上積み要因が加わってくると、上値追いも充分期待できるのではないでしょうか。逆に、ファンダメンタルズの支援が無ければトレンドもやがて変化してしまうのもやむ無しでしょう。

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話題変わって。

音楽業界がコンサート等のチケットの高額転売防止の一環として公式チケット二次流通サービス「チケトレ」をオープン。私もライブ好きですので興味深い話題です。ですが、何事もそうですが物事の大元、原点を考えることが重要で、この件で言えばなぜ高額転売が行われ、それを解決するにはどうすればいいのか?

チケトレについては本筋では無く、派生してきた事象の一つです。マーケットを考えるときにもよく陥りがちですが、あくまで根っこを捉えるようにしたいものです。


さて、このチケットが高額転売される問題はなぜ生まれるのか?

それは需要と供給がマッチしていないからであり、価値に見合った適正価格で提供されていないからです。観たい人の数に対して提供されるチケット数が少なすぎる、最も良い席でも最も悪い席でも価格が同じか大差ない、そういう状況。高くてもいいから観たい、高くてもいいから良い席で観たい。ここから高額転売が発生します。

日本のコンサートのチケットは、需給度合いや座席の良し悪しに関わらず同じか大差ない価格で提供されています。つまり価値に見合った適正価格で販売されていないというわけです。そうするとそのギャップの是正がどこかで行われることとなり高額転売が生まれます(同時に買い手の数や意欲が乏しければ低額でしか転売できません)。

つまり、この問題の原点は、適正価格での販売を長年行って来なかったことと考えられます。とは言え、状況に応じた価格設定での販売にはコストが伴いますし、一定額での販売は採算のメドを立てやすかったり、観客にとっても一定のメリットはあります。ですから単純に良い悪いでは無くどちらを選択するかという話。これまで音楽業界は適正価格で提供するコストを掛けず、一定額での販売のメリットを選んでいたわけです。そしてニーズや価値に見合った価格への調整は放棄していた。よってその調整を行うサービスやビジネスが生まれる。

ある意味これは当然のことです。ところがその規模があまりにも大きくなり、中には詐欺等トラブルや常軌を逸した取引も発生し音楽業界としても無視できなくなってきた。

ここまでは分かります。ならばやるべき事は「適正価格での提供」です。定価でのリセールのみであるチケトレは、残念ながらその役割をこなせるサービスではありませんので、たとえ利用コストが下がったとしても根本的な解決には繋がらないでしょう。

では、どうすればいいか?
価値に応じた適正価格をタイムリーに公正に決定できる方法なんてあるのか?

あります!我々にもっとも身近な「株価」が決まる価格決定方法、つまりオークションです。株価は「いくらで買いたい」「いくらで売りたい」という投資家の注文が集まって決まるオークション方式で行われています。チケットもこのオークション方式で価格を決めて購入できるようにすれば、より妥当な価格で販売/購入できます。

例えば、1万人の会場に観たいファンが5万人いるとします。1,000円なら5万人みんな買いたい。5,000円なら3万人買いたい。1万円なら1万人買いたい。ということで妥当な価格で1万人が観ることが出来ます。ここには不正も無いし販売額すべてが主催者側に入ります。無関係の所に得べかりし利益が流出してしまうこともありません。

さらに、座席による価値の違いも各席ごとのオークションで決めます。最高の座席は10万円出してでも買いたい人に、一番遠い見づらい席は1,000円で、とニーズや価値に応じて決めればより多くの人がハッピーです。極端な価格を出したくなければ上下に制限を設けたり抽選したりとルールで細かい設定はいくらでも可能。もちろんすべてオークションじゃ無くても価値に応じた価格設定ならOK。

お小遣いの少ない子供にも良い席で見せたければ一部の座席をそういう用途に別途確保し、エントリーや抽選で格安で提供するといったことも充分出来ます。

要は、工夫や努力次第でいくらでもなんとでもなるわけです。こういうシステムを作り運用するコストを掛ければ状況は劇的に改善できます。

U2: The Joshua Tree Tour 2017
Sun 5/21 @ 6:30pm
Rose Bowl, Pasadena, CA

荒唐無稽と思ったら、それは日本の旧態依然のシステムにどっぷりハマりすぎているのかもしれませんよ?(笑)

実際、米国では座席ごとにきめ細かく設定された価格で購入でき、もし行けなくなっても自分で価格を設定して転売できる機能もある公式なサービスがあります。→ Ticketmaster

ぜひ一度見てください。色んなアーティストやスポーツのイベントで好みの座席や価格から選べる楽しさや有り難さが実感できると思います。今ならWWEのリングサイド最前席が350$で買えます。全世界に楽しんでる姿が放映されるかもしれません(笑)

WWE Live
Mon 5/29 @ 7:30pm
Macon Centreplex Coliseum, Macon, GA

いかがでしょうか?こういうきめ細かいサービスを提供することによって利益の最大化を目指せるのです。もう誰かに利益を横取りされることもありません。
しかし、逆に人気が無いコンサートは安くないと売れない、安くても売れないというリスクも生まれます。いいとこ取りなんて出来ないのです。よって、より魅力を感じてもらえるよう色々と充実させたり、努力や競争が生まれたりして、クオリティアップや淘汰が生まれます。

利益を横取りするのは確かにけしからんかもしれませんが、それはコストを掛けたりリスクを負ったりした結果でもあるのです。それを取り戻したければ自分たちがコストを掛けリスクを負わなければなりません。そして、それこそが業界の発展やファンの満足に繋がると私は思います。

そう考えると株式市場というのは実に素晴らしい仕組みですよね!(笑)

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万華鏡はいくつものスコープスタイルとミラーシステムの組み合わせで、様々な美しい模様を作り出しているそうです。投資やマーケットにおいても様々なスタイルやシステムで異なったアプローチが可能ですし見える風景も違ってきます。色んな人が資産運用を行う上で固定観念にとらわれずマーケットや情報サービスやツールや手法等を活用するヒントをお伝えしたいという思いで「マーケット万華鏡」と名付けました。投資の考え方からマーケット動向のお話やツールの使い方まで、その時々で万華鏡のようなカラフルなテーマをお届けできればと思います。


万華鏡の種類
http://www.brewster.co.jp/type/


コラム執筆:臼田琢美 マネックス証券株式会社 執行役員営業部長

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