[ ここから本文です ]

広木隆の「新潮流」

2015年05月07日

【新潮流】第223回 暦通り

◆「暦通りです。」 年末年始やGW(ゴールデンウイーク)の休みの予定を訊かれると僕はいつもそう答える。生まれてこのかたGWの過ごし方は毎年同じだ。どこにも出かけないで東京にいる。行楽地はどこも混んでいる。高速道路も渋滞する。僕は人混みが嫌いである。それだけで「どこかに出かける」という選択肢は排除される。これは子供の時からそうである。確かめたわけではないが、きっと僕の親も、僕と同じ性向であったのだろう。

◆GWが終わったと書いてよいものか。今日明日も休んで次の日曜日まで連休というひとも少なくないだろう。4月の終わりから5月上旬まで、ほぼ2週間の休暇となったひとも中にはいるのではないか。組織・人事などに関するコンサルティング会社マーサーの調査によると、世界で祝祭日の日数が最も多い国はインドとコロンビア(18日)、最も少ない国がメキシコ(7日)である。西欧諸国は総じて少なく、日本は3位(15日)と多い方である。

◆厚生労働省の統計によると、日本人の労働時間は、1980年代には2000時間を超えていたが、2010年には1700時間台へと減少した。かつては「働き蜂」と皮肉られた日本のサラリーマンの働き方もだいぶ変わった。だが、ドイツ、フランス、オランダなど西欧の先進国に比べてまだまだ長時間労働である。祝日は日本のほうが多いのに労働時間は長い。日本は休暇取得が少ないのと残業が多いせいである。

◆これだけ長く働いて、その分多く付加価値を生み出しているならまだ救われる。しかし、内閣府が昨年末に発表した2013年の国民1人当たりの名目GDPは、経済協力開発機構(OECD)加盟34カ国の中で19位と先進国の中では最低クラスである。理由は、拙書「勝てるROE投資術」でも書いた通り、日本人の労働生産性が低いからである。日本の労働1時間あたりの生産性は40ドル強。米国(60ドル)の3分の2であり、フランス(58ドル弱)やドイツ(56ドル弱)に比べても低すぎる。いかに効率の悪い働き方をしているかということである。

◆一部に変わる兆しが出てきたのは希望が持てる。早朝勤務を推奨して残業を削減しようという動きが大手企業も含めて広がってきた。労働の効率性を改善しようという意識が高まりつつある。この季節、関東地方は朝4時台には明るくなる。早くから仕事にかかれば早く切り上げることも可能だ。退社後にプライベートの時間を充実させれば翌日からの活力にもつながる。個人的にはサマータイム制の導入も有効だと思う。いちばん良いのは各自が好きな時に休暇を取得できるような、柔軟な働き方を社会全体で受容していくことだ。いくら祝日が多くても、「暦通り」にしか休めないのでは、もったいないし、つまらない。

マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆

口座開設をお考えのお客さま

口座開設・資料請求(無料)

全てのお取引はこちらから

ログインはこちら

 マネックス証券からのご留意事項

「広木隆の「新潮流」」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。

マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。
商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。

↑画面上部へ