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広木隆の「新潮流」

2015年05月08日

【新潮流】第224回 テレサと台湾と清志郎

◆カラオケで僕の十八番は「つぐない」。80年代半ばにヒットしたムード歌謡だ。当時僕は大学生だったがアルバイトをしていた学習塾でカラオケ大会が頻繁に催され、「つぐない」を持ち歌にしていた塾長が唄うのをさんざん聴かされているうちに好きになった。以来30年唄ってきたから相当年季が入っている。言うまでもないが「つぐない」は「アジアの歌姫」と呼ばれた台湾出身の歌手テレサ・テンの代表曲。今日、5月8日がテレサの命日である。42歳という若さで彼女がこの世を去って20年が経つ。

◆この20年、まさにアジアの時代であった。特に中国本土と香港、そして台湾を含む「グレーターチャイナ(大中華圏)」繁栄の時代だった。高成長を謳歌した中国経済はいま、踊り場を迎えている。無事ソフトランディングできるか世界が固唾を飲んで見守る。一方、台湾経済は安定成長が続いている。アジア通貨危機を無傷で乗り越えたが、ITバブル崩壊とリーマンショックには抗えなかった。それでも立ち直りは早かった。しっかりとした産業が育っているからである。

◆スマホ用の電子部品などを手掛ける台湾のIT関連企業の業績が好調である。半導体受託生産で世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の株価は最高値圏にある。TSMCは台湾の主要株価指数である加権指数構成銘柄で13%のウェートを占める時価総額最大の企業だ。同社などが牽引役となり同指数は一時10,000の大台を超え、15年ぶりの高値を付けた。

◆命日と言えば、この前の土曜日、2日はRCサクセションのボーカリスト、忌野清志郎の命日だった。RCの曲では「トランジスタ・ラジオ」が頭から離れない。慶應義塾大学の学園祭である三田祭は前夜祭としてコンサートが開かれる。豪華メンバーがそろった1980年はシーナ&ザ・ロケッツで幕を開け、トリがRCだった。ステージにかぶりつきで観ていた僕がかざしていたポータブル・カセット・レコーダーを清志郎が取り上げて、マイクとともに口につけて歌ってくれた曲。それが「トランジスタ・ラジオ」だった。清志郎のアンプを通さない真の「肉声」が吹き込まれたカセットテープはいまでも僕の宝物だ。

◆80年代 - iPodもiPhoneもなかった時代。ポケットにいつもトランジスタ・ラジオを入れてFENを聴いていた。そのトランジスタもいま思えば台湾製だったかもしれない。トランジスタは半導体の代名詞。台湾の産業を支えてきた。が、実は台湾にはもうひとつ、大きな産業がある。自転車産業だ。世界的に有名な台湾の自転車メーカーGIANT(ジャイアント)をはじめ、今やITと並ぶ産業の柱となっている。不良のイメージで世に出た忌野清志郎だが、晩年はサイクリングにはまり自転車愛好家となった。トランジスタから自転車へ。台湾と同じである。

◆今夜はテレサを偲んでカラオケで「つぐない」を唄おう。大学生の頃、なぜ「愛を償えば別れになる」のか理解できなかったが、いまではわかる。80年代から30年。それだけ齢をとったということである。

マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆

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