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オルタナティブのランダム・トーク

2006年04月24日

「運用は謙虚なビジネス」

 知人がある記事を紹介してくれました。その記事の著者は、老舗の某米国運
用会社の幹部とお会いしたときに、「我々は謙虚なビジネスである」という彼
らの考えに感動を覚えたと指摘されています。

 確かに、そのとおりです。運用会社は、投資家から大事なお金をお預かりし、
代わりにその資産を運用し、成果を上げることが仕事である究極なサービス業
であります。サービス業である以上、傲慢な態度は禁物であるはずです。

 しかし、ファンド・マネジャーたちは、所詮、人間です。良い運用実績が積
み上がると、自分自身の才能は優れていると信じ込んでしまうワナに陥る場合
は充分あります。周辺やマスコミからは「カリスマ」あるいは「伝説的」とお
だてられ、場合によっては新興宗教の宗師に近い状態になってしまう場合もあ
ります。

 この誇り高い運用の成果をあげられたのは、自分の優れた分析、相場観や行
動力の功績だけであると信じ込んでしまい、そもそも誰のお金のお陰でこのよ
うな大きな仕事ができている現実を忘れてしまいます。

 ファンド・マネジャーは、本当の意味では「価値創造」の源ではありません。
価値創造の源は、ひとつひとつの投資先の企業の収益であり、そして、その企
業が収益をあげることができるのは社会全体の存在です。企業価値が、株式と
いう代用を通じて株価に反映されるから、ファンド・マネジャーは収益をあげ
ることができるわけです。つまり、色々な人の手を借りて創造された価値のか
けらを頂戴しているわけです。ありがたいビジネスではありませんか。

 ただ、果たしてどれくらいのファンド・マネジャーが自分たちの仕事は、サ
ービス業であるという自覚をしっかりと持っているのでしょうか。果たしてど
れくらいのマネジャーが、自分は他の人のお金を活用し、他の人たちが作った
本質的価値を頂戴できる、極めてありがたい仕事ができていると思っているの
でしょうか。

 謙虚さは理屈ではなくて、心構えです。フィー・ビジネスで稼ぐ仕事でもっ
とも大切なことは誠実さではないでしょうか。このようなサービス業の根底を
ファンド・マネジャーは忘れてはならないと感じる今日です。

 2005年1月に始めた本コラム「ランダム・トーク」は、今回の62回目を持ちま
して最終回を迎えます。読者の皆様、永らくお付き合いをいただき、誠にあり
がとうございました。月二回発信の「オルタナティブ・メール」では引き続き
コラム「オルタナティブ・トレンド」を通じてお会いできますので、今後とも
どうぞよろしくお願いいたします。

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