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特集1

2017年03月09日

第114回森トラスト・ホテルリート投資法人の投資ポイントについて、その2【J-REIT投資の考え方】

J-REIT価格は、方向感のない展開となっています。東証REIT指数は、2月から1,800ポイントを挟んだ値動きが続き、昨日(8日)には2月17日以来となる1,800ポイント割れとなりました。

米国で3月15日に開催されるFOMC(連邦公開市場委員会)で利上げが実施される可能性が高まっています。利上げに伴う米国債利回りの上昇や日本国債利回りへの影響を投資家が見極めようとするため、当面はJ-REIT価格が軟調になりそうです。

さて今回は、前回予告しました通り上場した森トラスト・ホテルリート投資法人(証券コード3478、以下MTH)に関して、二点目の投資ポイントとなるポートフォリオの分散効果について記載していきます。MTHは、現状では4棟だけでポートフォリオが構成されているため、個別物件の収益変動リスクが極めて高いというマイナス面があります。

ホテル系銘柄では、ホテル売上や収益によって変動する賃料体系を採用する物件を多く保有している場合があります。その点だけを見るとMTHの賃貸収入全体に占める変動賃料の割合は、他のホテル系銘柄と比較して高いものにはなっていない(図表1)ため、収益変動リスクが低いとも考えられます。

ただし、MTHは保有4物件のうち3物件だけで変動賃料を採用し、変動賃料の60%弱が旗艦物件である「シャングリ・ラ ホテル東京」で占められています。他のホテル系銘柄は、多くの物件で変動賃料を採用し個別物件リスクを回避しています。例えば変動賃料比率が最も高い、いちごホテルリート(証券コード3463)では11物件で変動賃料を採用し、変動賃料比率が最も高い物件でも20%弱となっています。MTHは変動賃料対象物件が少ないため、実際には収益変動リスクが高くなる可能性があります。

都市部のホテルの中で特にビジネスホテルは訪日客の増加でADRが大幅に上昇してきましたが、昨年夏以降は高くなったADRの影響で稼働率が低くなる物件も増えてきています。この要因は、訪日客の一部が民泊や来日時のクルーズ船に宿泊しているためではないかと考えられています。

この影響はJ-REITにも及んでいます。ホテルをポートフォリオの中心としているインヴィンシブル投資法人(証券コード8963)が、2016年12月期の業績予想を12月22日に下方修正した要因も、稼働率が想定通りにならなかったためとしています。

一方でMTHが変動賃料を採用している3物件は、もともとADRが高いため都市部のビジネスホテルとは競合関係ではありません。従って変動賃料のリスクは、富裕層やビジネスでの訪日客が減少するような事態が到来する場合に生じるものと考えられます。具体的には、円高の進行や景気悪化が強まった場合にはMTHのポートフォリオでも影響が出ると考えられます。

このように投資ポイントを見ると、前回記載した通り、増資による分配金の増加が期待できるためMTHが順調な外部成長を続けると考える投資家にとっては、プラス面が多い銘柄と言えるでしょう。今回記載した前述の変動賃料の個別物件リスクも外部成長によって物件が増加すれば、解消が可能となるためです。また物件の増加によって資産規模が拡大すれば、現在は未取得の格付けを取得しAA格相当を付与される可能性も高まります。日銀の投資対象となれば、価格の面でのプラス効果は大きいため外部成長の効果は高い銘柄と考えられます。

ただし、外部成長を続けたとしても当面は旗艦物件である「シャングリ・ラ ホテル東京」の変動賃料が全体の変動賃料に占める割合は高い状態が続くことになりそうです。従ってMTHはポートフォリオの分散効果が高くなるまでは、景気動向によっては分配金の減少リスクが高い銘柄という点には留意が必要です。


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(出所)各銘柄公表資料を基にアイビー総研(株)作成
※変動賃料割合=変動賃料÷賃料合計で算出
変動賃料割合は本稿執筆時点の業績予想に拠る各銘柄の当期数値
なおMTHの固定賃料は年間賃料を決算期間に該当する6か月分として算出

コラム執筆:アイビー総研株式会社 関 大介

<本内容は、筆者の見解でありアイビー総研株式会社及びJAPAN-REIT.COMを代表したものではありません。個別銘柄に関する記載がある場合は、その銘柄の情報提供を目的としており、お取引の推奨及び勧誘を行うものではありません。また執筆時点の情報を基に記載しております。>

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