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特集1

2017年04月21日

第40回 いまこそ長期的な視点が必要【ズバリ!江守哲の米国市場の"いま"】

米国株はこのところ上値の重い状況が続きました。北朝鮮情勢の不透明感や、23日のフランス大統領選の第1回投票を控えているので、投資家が慎重姿勢になったことがあげられます。米国の主要企業の決算発表が始まりましたが、期待が高かっただけに、実際に発表された後は売り込まれる銘柄がみられたことも株価を抑えたといえそうです。しかし、決算自体は堅調な内容となっています。米金融大手6社の1~3月期決算では、16年11月の米大統領選後から続いた金融・資本市場の活況を背景に、債券売買などの収益が伸びたことで、JPモルガン・チェースなど5社が前年同期比で増収増益を達成しました。トムソン・ロイターによると、主要企業の純利益は前年同期比11.1%増と2ケタ増益が見込まれており、その場合には2011年以来の高水準となります。また20日午後までに四半期決算発表を終えたS&P500構成銘柄82社のうち、約75%が市場予想を超えています。この比率は過去4四半期平均の71%を上回っており、きわめて堅調な数値といえます。現在の市場の不透明感が払しょくされれば、株価は堅調な企業業績を背景に再び上値を目指すのではないかと考えられます。

最近の米国経済指標はやや軟調なものが見られ始めており、一部には景気がピークアウトしたのではないかとの指摘もあります。しかし、20日に発表された12地区連銀景況報告(ベージュブック)では、2月中旬から3月末にかけて米国経済は控えめから緩やかなペースで拡大したとの認識が示されました。現在の米国債利回りは、地政学的リスクの台頭などを背景にリスクオフの状況にあることから、低迷しています。しかし、これらの状況が永遠に続くことはありません。いずれは正常化に向かっていくことでしょう。しかし、それまでは、米連邦準備制度理事会(FRB)はかなりゆっくりとしたペースでの利上げを行うことになるでしょう。フィッシャーFRB副議長は、「FRBによる金融政策の正常化は緩やかに進む」としています。FRBは、米国経済は拡大を続けると自信を持っており、徐々に緩和を減らしていくことによって米国経済はさらに拡大し、海外への悪影響も低減できるとしています。このように考えると、FRBの金融政策で市場が不安定になるようなことはないでしょう。市場の関心は、FRBの保有資産の縮小に向かっていますが、これについてもゆっくりとしたペースとなり、市場の混乱は回避されるでしょう。

このように考えると、現在の米国株の上値の重さは、北朝鮮問題などの地政学的リスクや、トランプ政権の外交への傾斜が背景といえそうです。減税と財政出動に関する議論が、シリア情勢や北朝鮮情勢の悪化を背景に棚上げになっていることが、政権に対する市場の期待の剥落につながっていましたが、20日にはムニューシン財務長官が税制改革案を「極めて近いうちに」提示すると表明したことで、法人税減税の早期実現への望みが高まり、米国株は大幅上昇となりました。トランプ大統領は当初の政策方針を微妙に変えており、より現実路線に移行しているようにも見えます。これを肯定的に捉えるのであれば、政権への期待感は十分に維持されるといえます。いずれにしても、株価は最終的には企業業績に収れんします。この点を投資判断の中心に据えている限り、眼前の不透明感に振り回されることはないでしょう。いまこそ、長期的な視点が必要であると考えます。

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江守 哲
エモリキャピタルマネジメント株式会社・代表取締役
大手商社、外資系企業、投資顧問会社等を経て独立。コモディティ市場経験は25年超。現在は運用業務に加え、為替・株式・コモディティ市場に関する情報提供・講演などを行っている。
著書に「1ドル65円、日経平均9000円時代の到来」(ビジネス社)
「LME(ロンドン金属取引所)入門」(総合法令出版)など
共著に「コモディティ市場と投資戦略」(勁草書房)

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