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特集2

2017年05月16日

第259回 投機筋らが3年ぶり買い越しに?!特にユーロ/円上昇妙味大【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

ユーロが上昇基調を強めています。ユーロ/ドル相場は年初1月3日の1.0340ドルが今年の最安値、5月8日には1.100ドルにまで大きく上昇しています。4月~5月のフランスの大統領選挙に向けてリスクを回避、ヘッジする動きがマーケット全体に広がりましたが、4月の第1回投票で波乱要因とされていた国民戦線のルペン党首が敗退すると、ユーロ/ドル相場は翌営業日4月24日に窓を開けて大きく上昇して寄り付き、今もなおこの窓を埋めることなく、再び上昇に弾みがつく格好となっています。2017年前半はユーロを買っていれば大きな利益を上げることが出来たことになりますが、年後半もさらにこの流れが加速する可能性があるとして、市場関係者らはユーロに注目しています。

3年ぶりにヘッジファンドら投機筋がユーロ買い越しに転じる

マーケット関係者が驚きをもって注目しているのが、CFTC(全米先物取引委員会)が公表しているヘッジファンドら投機筋の建玉明細。なんとファンド勢のポジションが2014年5月6日以来3年ぶりに買い越しに転じています。買い越し幅は2万2,399枚、最後に買い越しとなった2014年5月6日の3万2,551枚以来の大きさとなっており、この大転換は今後もユーロ上昇のトレンドが続く一つの材料となるとみられます。

各取引所は毎週火曜日の取引終了後の建玉枚数をCFTCに報告し、CFTCはそれを集計して当該週の金曜日にホームページ上で公表しています。原油やゴールドなどの商品先物市場は、総取引量に占める投機筋らのポジションが大きいために、この統計の注目度は非常に大きく、投機筋らのポジションが一方向に偏ると、決済する際に引き起こされる反対売買の圧力が高まるとして、今後の値動きの方向性を探る指針として材料視されています。

シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)で取引される「通貨先物」市場は、「実需」ではなく「投機的とみなされる通貨取引」ですが、CMEもまた、CFTCに対して投機筋らの建玉を報告しています。一般的には、Non-Commercial(投機筋)のLong(買い)とShort(売り)の枚数を見ます。ギリシャ問題やドイツ銀行の破たんリスク、英国のEU離脱問題などEUを巡る様々な問題から、ユーロ/ドル相場はパリティ(1ドル=1ユーロ/等価)予想が台頭してきました。ファンド勢は常にユーロを売り越していたのですが(売り建玉と買い建玉を相殺した際に、売り建玉のほうが大きい)これが3年ぶりに「買い越し」に転じたのです。

大口のヘッジファンドなどは手口が公開されることを避けるため、ポジションの報告義務がある通貨先物市場だけを使っているわけではないのですが、それでも「マーケットの縮図」として一定の注目ではあります。3年ぶりに売りから買いに転じたというような大転換には、それなりに意味があるとみていいでしょう。

※IMM通貨先物ポジションは「ドル/円」「豪ドル/円」などクロス円の通貨ペアでのポジションの偏りを見ることはできません。米ドルに対して、ユーロ、ポンド、豪ドルなど各通貨にどのような偏りが生じているかが報告されるルールとなっています。

ファンド勢のポジション動向は日替わり、週替わりでコロコロ変わるというものではありません。一つのテーマがあれば、そのテーマに沿ってポジションの偏りの推移もトレンド化する傾向があります。今回、ユーロの売り越し枚数が減少に転じ始めたのは昨年11月のことで、トランプ大統領誕生以降のトランプラリーの中で、ユーロの売りは毎週減少していました。おおよそ半年もの間、ユーロの売りが買い戻されてきて、これがいよいよ買い越しに転じたということで、年後半この買い越し残高が積みあがる方向でトレンド化するかどうかに注目が高まっているのです。

※ただし、週末発表される投機筋らのポジションは当該週の火曜日までの数値で若干のタイムラグがある点には注意が必要。

ファンド勢らの心理の変化の背景には、前述したフランスの大統領選挙でのリスクが後退したことによるユーロショートの買い戻しだけでなく、ECBの金融政策の転換への思惑の高まりも指摘されています。先般オランダ議会でドラギ総裁が議会証言を行った際、ユーロ圏全体の景気は上向きに入ったと述べる一方で、現在の刺激策はなお必要との認識を示し、慎重姿勢も改めて示していましたが、ユーロ圏では4月のインフレ率が1.9%と3月の1.5%から加速しており、ECBが目標とする水準を回復し、市場は早ければ6月8日のECB理事会での緩和解除示唆を織り込む動きが出始めているようです。

米国は2015年から利上げにスタンスを変更し3年目に入りますが、欧州の緩和解除はマーケットにとってまだまだ新鮮であり、ドルよりもユーロ物色が強まる可能性が大きいのですが、どちらも同じ方向の政策となると、値動きとしてはあまり妙味がないかもしれません。対して日本の金融政策は長期国債を、ゼロ近傍に固定する緩和政策を実施しており、金融政策の違いという意味では「ユーロ/円」の値動きが、最も期待できる通貨ペアとして注目が集まっています。週足チャートで、ユーロ/円は一目均衡表の分厚い雲の上に綺麗に顔を出して、上値抵抗がなくなっています。130~140円方向へ向けて大きな上昇トレンドをスタートさせた可能性があり、大注目です。

コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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