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特集2

2017年08月07日

第106回 「健康寿命」を読み解く 【市場のテーマを再訪する。アナリストが読み解くテーマの本質】

みなさん、こんにちは。『今どき株で儲けるヤツは、「業種別投資法」を使っている』著者の長谷部翔太郎です。株式市場にボラ(ボラティリティ)が乏しい日々が続いています。景気堅調との見通しは着実に増えてきているのですが、直近は政治の安定性への不安台頭もまた株価の重石となっているように思えます。一方、日経ジャスダック平均はなんと26年ぶりの戻り高値を更新するなど、官制相場の色彩が濃い大型株に対し、小型株はむしろ力強い展開を演じています。期待が大きいということなのでしょう。とはいえ、朝鮮半島有事リスク、欧米の金利引上げ観測台頭、国内政局など、株価に材料は目白押しです。そういったことを考えると、大型株にもそろそろ転機が近づいてきているのではないか、と筆者は感じています。

さて、今回採り上げるテーマは「健康寿命」です。健康寿命とは、日常継続的な医療・介護に依存しないで自立生活のできる生存期間を指します。イメージとしては、「一人で元気に(?)歩きまわることのできる年齢」という感じでしょうか。先日は日本人の平均寿命が男女とも過去最高を更新し、世界2位を維持したとの報道がありました(ちなみに、日本を上回る世界1位の長寿地域は香港です)。しかし、どれだけ長生きするとしても医療の力に全面的に頼り切った形ではきっと人生をエンジョイする印象はかなり減殺されてしまうのではないか、と想像します。QOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)が担保できなくなる、と言い換えてもいいかもしれません。おそらくは健康寿命=平均寿命が望ましいのでしょうが、現実には健康寿命と平均寿命には差が存在しており、厚生労働省の調査では、男性でおよそ9才、女性でおよそ12才、健康寿命は平均年齢より短いとされています。つまり、この差を如何に短縮するかが、重要だということでしょう。そしてこの差の短縮には、(平均寿命の短命化は選択肢とならない以上)健康年齢を引き上げるしか手はありません。今回のテーマの背景には、平均寿命が延びた一方、誰もが迎える「死」の直前まで如何にQOLを維持できるかはむしろそれ以上に非常に重要になってくる、との考えがあります。

しかもこのことは、個々人のQOLの問題に留まらず、マクロ規模でも大きな影響が予想されます。当然ですが、健康寿命が延伸されれば、それだけ医療費負担も抑制されることになります。特に少子高齢化によって今後急拡大が予想されている社会保険料については、その懸念緩和にも繋がるという点で社会的意義も大きいと云えるでしょう。健康な高齢者が増えれば、働き方改革の一翼を担う存在にもなるかも知れません。ネットなどのIT技術を活用すれば、経験と知見をふんだんに有する高齢者のノウハウが社会に貢献する機会はもっと増えるはずです。高齢化社会の到来は決して「停滞する社会」ではない、ということを実証できれば、明らかに社会に活力が増してくると期待したいところです。1947年の平均寿命は男女ともに50才台でした。この時、平均寿命が80才台にまで延伸すると誰が予想したでしょうか。健康年齢においても、筆者の想像が現実化して何ら不思議ではないと思えるのです。

健康寿命の延伸は、もちろん、健康人口の増加(もしくは下げ止まり)をもたらします。本コラムでもかつて採り上げましたが、「アクティブシニア」という人口は既に着実に増加しており、旅行や外食といった分野で大きな消費層となってきています。健康需要が増加すれば、そういったアクティブシニアがさらに増加することになるはずです。こういった消費分野には大きな市場成長余地があると云えるのではないでしょうか。シニアのニーズに合致するレジャー分野を手掛ける企業群は、株式投資という視点で見ても要注目と考えます。さらに筆者がより興味を持つのは、では「どうやって健康寿命を延伸するか」です。前述の消費への期待も、まずは健康寿命の延伸が実現してこそ、なのですから。実はやはり厚生労働省の調査では、要支援・要介護となった原因として運動器障害、脳血管疾患、認知症、高齢衰弱などが具体的に挙げられています。これには様々な医学的見地からの視点があるのでしょうが、運動器障害や脳血管疾患については、食生活や適度な運動や整体がその予防・抑制には重要なカギを握る公算は非常に大きいと想像します。例えば、シニア向けの運動・整体や食生活指導といった分野は一つの注目ポイントと位置付けられるのではないでしょうか。

プロスポーツ選手などを見ていると、その選手生命はかつてとは比較にならないくらい長くなったように感じます。そして、そういったプロスポーツ選手ほど、ストイックな食生活や入念な身体の手入れを怠っていないように思えます。スポーツ選手ほどのレベルには至らなくとも、我々が健康を維持するカギとして、そこから得るものは多いのだと考えます。

コラム執筆:長谷部 翔太郎(証券アナリスト)

日系大手証券を経て、外資系投資銀行に勤務。証券アナリストとして、日経や米Institutional Investors誌などの各種サーベイで1位の評価を長年継続し、トップアナリストとして君臨する。外資系投資銀行で経営幹部に名前を連ねた後、現在は経営コンサルティング会社を経営する。著述業も手がけ、証券業界におけるアナリストのあり方に一石を投じる活動を展開中。著作は共著を中心に多数。

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