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特集2

2017年08月08日

第271回 2017年ジャクソンホールシンポジウムの主役はドラギ総裁【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

この時期になると話題となるのが「ジャクソンホール」シンポジウム。2017年は8月24~26日に開催されます。世界各国から中央銀行総裁や政治家、経済学者、評論家が一堂に会して様々な経済問題について話し合いが持たれ経済政策を討議するのですが、各国の中央銀行総裁が多数出席することもあり、金融関係者らによるダボス会議のような位置づけとされています。今年は3年ぶりにECBのドラギ総裁が出席することが耳目を集めることとなるでしょう。足元のユーロ上昇は、ジャクソンホールシンポジウムに向けての期待の表れでもあります。

ジャクソンホールシンポジウムは1987年から毎年8月に開催されていますが、市場関係者の注目が高まるようになったのはリーマンショック以降。2010年の会合で、当時のFRB議長であるベン・バーナンキ氏がQE2(量的緩和第二弾)の実施を示唆したことをきっかけに世界の株価は大きく上昇しました。実際、その年の11月にQE2の実施が発表されています。

FRBは市場との対話を重んじており、サプライズで新たな金融政策を実施することはほとんどありません。2010年のジャクソンホールシンポジウムが、QE2の実施という重要な政策決定を市場に織り込ませるというステージになったことから、市場関係者はこの会合への注目を高めることとなったのです。

あまりに市場関係者の注目が高まり過ぎたために、2013年、バーナンキ氏はジャクソンホールシンポジウムを欠席したことがあります。この年2013年5月22日、バーナンキ氏はテーパリング(量的緩和策の出口戦略)を示唆したことで市場関係者の間では9月のFOMCでテーパリングの開始が決定されるのではないかという観測が強まっており、8月のタイミングで開催されるジャクソンホールでそれを確認することになると期待が高まっていました。それまでの25年間、FRB議長がジャクソンホールシンポジウムを欠席したことはありませんので、市場には様々な思惑が広がることとなります。結局、テーパリング開始時期は市場関係者らが予想していた9月ではなく12月まで遅れることとなったのですが、8月時点でバーナンキ氏はテーパリング開始時期について、言質を取られるのを避けるために欠席したのだろうと言われています。

そして、今年2017年。注目は米国ではなく、欧州です。
ドラギ総裁がジャクソンホールシンポジウムに出席するのは3年ぶりなのです。実はドラギ総裁、このジャクソンホールシンポジウムで重要な政策転換のヒントとなる発言をしたことがありました。2014年、「ユーロ圏のインフレ期待が大幅な低下を示した」と警鐘を鳴らしたのです。実はこの時、講演原稿にはインフレ期待についての記述はありませんでした。ドラギ総裁のアドリブだったのです。また、「政策姿勢を一段と調整する用意がある」とした講演原稿の中でも、それまで使われていた「必要になった場合は」の文言が省かれており、こうした言い回しの転換が、ECBによる本格的量的緩和策へ踏み出すヒントとなっていたのです。実際に直後の9月4日のECB理事会では、政策金利の引き下げとABS(資産担保)証券・カバードボンドの買い入れ開始を決定し、本格的な量的緩和政策に踏み出しています。このころからユーロが大きな下落となっていくのです。

そして、3年ぶりのドラギ総裁のジャクソンホールシンポジウムでの講演。量的緩和の終了について言及があるのではないか、との思惑がすでにユーロを上昇させています。6月27日のECBフォーラムにおいてドラギ総裁は「デフレ圧力はリフレ的になっている」とこれまでのハト派姿勢を転換させたことに市場は驚き、その後、ジャクソンホールシンポジウムへの3年ぶりの出席を表明したことに、市場は「緩和終了へのヒントとなる発言が出る」との期待を高め、ユーロが先行して上昇しているのです。政策転換への発言はまだないにも関わらず、期待先行でのユーロ高ですので、どこかで材料出尽くし的なユーロ下落があっても不思議はないように思いますが、ドラギ総裁の発言がユーロをさらに上昇させるのか、期待外れに終わるのか注目度は非常に高いイベントですので、覚えておきましょう。

コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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