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特集2

2017年08月09日

第225回 北京市民の労働時間は短縮傾向に 【北京駐在員事務所から】

日本では、長時間労働による過労死や過労自殺が社会問題化し、労働法制の改正など対策が急務となっています。

「プレミアムフライデー」も労働時間短縮に資することが期待されたものと思いますが、どうも所期の成果を挙げていないようです。対策としては準備不足、あるいは安易であったとの感が否めません。

中国では、日本のような長時間労働、あるいはそれによる過労の問題はニュースで目にしたことはなく、工場や鉱山で劣悪な環境下での作業に従事し、呼吸器系の病気を発症するケースや、労災事故により命を落とす、あるいは傷害を負うという事例がしばしば報じられます。このあたりは、日本の高度経済成長期に重なる光景です。

このほど、北京市民を対象に行われた、労働時間など一日24時間の配分についての調査結果が公表され、20年前に行われた同種の調査と比べ、労働時間が減少しているという結果になりました。

調査は、政府の国務院に属する研究機関である中国社会科学院が行い、1996年に北京市民430名を、また昨年に同830名を対象にアンケート調査を実施し取りまとめました。
サンプル数が少ないようにも思われますが、20年間を隔てて、同様の手法で行われた調査ということで、有意義なものと評価できそうです。

1996年の調査結果(回答者の平均)は以下の通りです。

労働:6時間29分(27%)
家事:1時間52分(8%)

娯楽・レジャー:5時間3分(21%)
その他(睡眠、食事など):10時間36分(44%)

一方、昨年2016年の調査結果(同)は以下の通りです。

労働:6時間2分(25%)
家事:1時間47分(7%)

娯楽・レジャー:4時間13分(18%)
その他(睡眠、食事など):11時間58分(50%)

20年間で、労働時間が27分間(2%)短くなった一方、娯楽・レジャーに充てる時間も50分間(3%)短くなり、「その他」の時間が1時間22分も長くなっています。

この「その他」をさらに分類すると、睡眠時間が8時間58分(43分増)、食事の時間が1時間56分(同29分増)となっており、特に女性の方が睡眠時間が長いとの結果が出ています。

労働時間が短くなる一方、睡眠と食事の時間が長くなっているとのことで、非常に健康的な印象ですが、毎日の睡眠時間が9時間近いというのは、俄には信じがたい思いもいたします。

調査を指揮した中国人民大学の教授は、20年間の変化の要因として、科学技術の発展により生産性が向上し労働時間の短縮につながったこと、また経済成長の鈍化により、人々が自身の生活を楽しむことをより重視するようになったことを挙げています。

平均的には上記のような傾向ですが、住宅が郊外に広がり、長時間の通勤を強いられる市民も増えていることから、個人差は大きいものと思われます。

それでも、IT系など一部を除き、一般の企業では残業はさほど多くなく、夕方の通勤ラッシュもせいぜい19時くらいまでですので、日本よりはゆとりのある生活ができる人が多いのではないかと想像しています。

北京市民の生活時間に関する調査結果から、日本の長時間労働について改めて考えさせられてしまいました。
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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所長

マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト

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