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特集2

2017年10月12日

第3回 フィンテックは「Fintech2.0」の時代へ【野水瑛介が目指す「資産運用のあたりまえ」】

「インターネット」そして「パソコン」という新しいテクノロジーが一般の人にも普及してきたのが1990年代後半です。当時、その最先端のテクノロジーを個人向けの金融サービスに積極的に取り込んでいこうという新しい流れがありました。インターネット専業の証券会社が誕生したのもこの頃です。その頃は、金融(ファイナンス)分野とテクノロジー分野の融合を特段「フィンテック(Fintech)」と呼んでいませんでしたが、今から考えるとFintechの黎明期、いわば「Fintech1.0」の時代だったと言えるかもしれません。そういう意味では、今もてはやされているFintechは「Fintech2.0」と言えるかもしれません。では、なぜ今Fintech2.0という大きな流れができてきたのでしょうか。3つのキーワードで理解することができます。

(1)iPhoneの誕生

21世紀以降コンピュータの処理能力は飛躍的に向上し、インターネットも常時接続の高速通信が当たり前の時代になりました。そうした時代背景のなか、2008年にアップル社から「iPhone」が発売されました。iPhoneは画期的な商品でした。iPhoneはその名前の通りあくまでも「携帯電話」ですが、中身は「高性能な手の平サイズのパソコン」と言った方が良いものでした。

iPhoneの登場前からいわゆるスマートフォンと呼ばれる高性能な携帯電話端末は存在していましたが、iPhoneが「ガラケーからスマートフォンへ」という大きなトレンドの立役者でした。iPhoneによって、パソコンを持っていなくても手軽にインターネットに接続できる人が増え、その結果、人々の消費行動も大きく変わりました。アマゾンや楽天での買い物で当たり前となっている、「インターネットで口コミを確認し、類似商品を比較検討してから購入する」ということが主流になったのも、iPhoneの普及なくしてはありえなかったと言えるかもしれません。金融サービスも、こうした新しい消費スタイルに馴染んだ人々を顧客とする必要が出てきたのです。

(2)コストに対する意識変化

2008年9月に、100年に一度起きるかどうかという「リーマンショック」が起こり、世界中の金融商品は大幅に下落しました。アメリカやイギリスなど、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)の存在感が大きい国では、「IFAのような資産運用のプロに高い手数料を払って任せても、結局はリーマンショックで大損したではないか!」という不満が爆発しました。リーマンショックをきっかけに、人々の中に、リターン(儲け)も重要だが、支払う手数料(コスト)に対しても敏感にならなければならないという機運が高まりました。日本においても、質の高い信頼できる金融サービスを低コストで受けたいというニーズが高まってきました。

(3)金融サービスの起業が容易な環境に

日本において、「起業する」あるいは「アントレプレナー(起業家)になる」というのはマイノリティですが、少しずつ増えているようです。しかし、金融サービスの起業家はまだまだ少ないのではないでしょうか。金融サービスをゼロから立ち上げるには、これまで多額の資金が必要だったことが理由かもしれません。しかし、ここ数年で金融サービスを新規に立ち上げるハードルが下がってきました。

金融サービスのコストはざっくり言うと、「システムコスト」と「人件費」に分けることができます。逆に言えば、システムを効率的に構築し、人間を極力介さないビジネスモデルにすれば、コストは大幅に抑制することができます。システムコストでとくに巨額のお金がかかっていたのがサーバーコストですが、AWS(Amazon Web Service)の登場によって、初期投下コストは圧倒的に抑えることができるようになりました。さらに、個人を対象とした金融サービスの場合は、接客や顧客利便性のために一等地に実店舗を持つことが必要でした。しかしインターネットでビジネスを展開すれば実店舗がなくても簡単にビジネスを始めることができます。

金融サービスを新たに立ち上げる難しさはコストだけではありません。金融サービスは「おカネ」を扱うこともあり、法令や規制が極めて厳格です。完璧であることは大前提であり、トライ&エラーができないのが普通でした。しかし、ここにきて、金融機関を監督する金融庁の態度が大きく変わってきました。金融庁が陣頭指揮をとっているのは、金融機関が「顧客本位の業務運営」を徹底することです。簡単に言うと、「金融機関はお客様を第一に考えて業務しなければならない」ということです。その意味で、お客様を第一に考えた新しい金融サービスを立ち上げることに、規制当局も好意的になっています。

今までの金融サービスは、銀行や証券会社などの豊富な資金力がある「金融機関」が提供するものでしたが、上に書いたような大きな「変化」に伴い、今後は「個人」を中心に据えた、すわなわち「お客様第一主義」の金融サービスを提供する新しい企業が次々に誕生する可能性があります。Fintech2.0の時代とは、金融機関ではなく「お客様」を主人公とする新しい流れといえるのではないでしょうか。

<筆者プロフィール>

野水瑛介(のみず・えいすけ)

1986年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、JPモルガン・アセット・マネジメントに入社。銀行や証券会社を担当する投資信託営業に従事。その後ロンドンオフィスに駐在しジャパンデスクとして東京オフィスとのリエゾン業務を担当。帰国後、当時最年少でチームマネージャーに就任。2016年2月にマネックス・セゾン・バンガード投資顧問に参画。オンライン投資一任運用サービス「MSV LIFE(マネックス証券での愛称:マネラップ)」https://www.msvlife.jp の開発責任者に就任し、2016年9月17日にサービスをリリース。「ゴールベースアプローチ」に基づき、「資産運用のあたりまえをあたりまえに」するべく、執筆や講演活動を展開中。

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