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特集2

2017年11月08日

第238回 住宅価格は安定化を見せているが・・・ 【北京駐在員事務所から】

ここしばらくの間、住宅市場あるいは住宅価格の動向に関するニュースを目にする機会がなかったのですが、どうやら過熱感を抑えるために各地方政府が講じた対策が効果を挙げているようで、価格上昇は沈静化の兆しを見せているそうです。

少し前までは、南部の深センを筆頭に、大都市での価格上昇が急と報じられていたのですが、9月にはわずかながら下落に転じました。

また、中小都市でもじわじわと価格上昇が続いていたところ、足元ではそのペースが鈍っているそうです。

中国政府の国家統計局が10月23日(月)に公表したデータによると、北京など一線都市の新築及び既存住宅の価格は、9月に前月比0.2%下落しました。

二線都市の価格は0.2%上昇しましたが、上昇率は鈍化の傾向にあるそうです。

三線都市になりますと、新築物件の価格が前月比0.2%、既存物件が同0.1%それぞれ下落しており、総じて中国の住宅価格は、足元では横ばい傾向となっています。

また、住宅の取引も鈍化しており、本年1~8月累計の取引額が前年同期比17.2%増であったのに対し、1~9月の累計では伸び率が同14.6%に低下しています。それでも2桁増ですから、まだ高水準と言えましょうか。

中国政府で住宅政策を担当する住宅都市農村建設部(日本の国土交通省に相当)の大臣が先日会見を行い、政府として今後投機的な取引への監視を強めるとともに、実需に見合った物件の供給に努めるとの方針を発表しました。

予定されている施策としては、賃貸住宅に係る法整備を進め、供給を促進するほか、全国規模で住宅需要を的確に把握し、これに対応した物件供給を図るモデルを確立するとのことです。

不動産情報サービス会社のアナリストは、これまでに各地方政府が講じてきた対策により、大都市での市場の過熱は沈静化し、また中小都市の市場も安定的に推移していると評価しています。

また、別のアナリストは、近い将来において、各地方政府が追加の施策を実施し、市場の安定化をさらに進めると述べています。

過去の動きを見ますと、中国の住宅価格は非常に不安定で、急騰と下落を繰り返しているのですが、果たして安定化を図ることができるか、政府のお手並み拝見というところです。

中国では、金融商品市場に投機色が強く、個人の資産形成、資産運用の手段としては、不動産が最も信頼できる状況にあります。ある程度の所得あるいは預貯金を持つ人々は、居住用の物件に加え、投資用に2戸目、3戸目を購入することになります。そして、投資用の物件を持つ層は、住宅価格の値上がりを強く期待しています。

一方、都市部の土地が国有であることから、土地、建物の供給と取引に市場原理が働きにくく、恒常的に需要が旺盛であることから、需給関係は供給不足に陥りがちです。政府の対策も、ローン審査の厳格化など、需要の抑制策が中心で、市場を歪める結果になっています。

土地の国有制を前提とする限り、市場の安定化、正常化はなかなか困難なように思えます。

住宅価格、住宅市場の動向には、中国の都市あるいは社会が抱える問題が集約されているように見えます。

「急騰も急落も許されない」状況下で、政府がどのような施策を打つのか、またそれらに応じて市場がどのように動くのか、今後も目が離せません。
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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所長

マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト

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