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特集2

2017年12月04日

第115回 「仮想通貨」を読み解く 【市場のテーマを再訪する。アナリストが読み解くテーマの本質】

みなさん、こんにちは。『今どき株で儲けるヤツは、「業種別投資法」を使っている』著者の長谷部翔太郎です。11月後半の日経平均はそれまでの熱気が鎮静化し、再びボックス圏での小動きといった様相を呈してきました。筆者は思いの外、相場が底堅いと受け止めていますが、このまま一気に23,000円と期待した向きにはかなりの失望感は否めないところでしょう。このように直近はどうも見方が分かれてきているような印象です。まだ当面は気迷い感のある相場展開が続くのでは、と予想しています。

さて、今回は昨今なにかと話題の「仮想通貨」をテーマに採り上げてみたいと思います。仮想通貨の代表ともいえるビットコインは、先日遂に1単位当たり115万円を突破し、一年足らずで実におよそ10倍となる高騰を演じています。2014年秋にはまだ4万円程度でしたから、3年で30倍弱という驚異的な上昇となりました。仮想通貨の存在も既に広く知れ渡るようになり、仮想通貨を投資対象にしたいと考えられる方も少なくないのだろうと想像します。確かに、これだけの急騰を見せられると「居ても立ってもいられない」と感じるのも無理ありません。仮想通貨に関する懸念点・問題点は確かに否めませんが、それも既に言い尽くされた感もあり、「それでもこれまで問題は発生していないではないか」という見方もまた日々増しているようにも思えます。実は、筆者は2016年初夏にこのテーマを一度取り上げています。 (2016年7月4日 第80回)ビットコインで見れば、まだ当時は6万円台でした。早めのテーマ設定には成功したと云えるかもしれませんが、それからわずか1年強で110万円を突破するとはまさに夢にも思いませんでした。本コラムでは、この「爆騰」を受けて、再度このテーマを掘り下げてみたいと思います。

昨今、仮想通貨が上げ足を速めているのには2つ要因があると考えています。一つは各国の取引所などで仮想通貨の先物を上場させようとする動きが鮮明になってきたこと、です。先物売買ができるようになると、機関投資家などがこの市場に参入しやすくなるうえ、様々な派生商品の組成も容易になるため、仮想通貨市場そのものに厚みが増すのでは、との期待があります。新規参入者が増えれば、それだけ仮想通貨の需給もタイトになるとの観測です。2つ目はハードフォークと呼ばれる仮想通貨の「分裂」への期待です。ビットコインは2017年に入って既に3回分裂を行っており、4回目も予定されているとの報道もあります。仮想通貨が分裂すると、投資家には新たな仮想通貨が配布され、その価格も上昇するのではとの観測がなされているのだと云えるでしょう。ただし、気を付けなければならないのは、これらはいずれも「需給要因」であるということです。まさに「買うから上がる、上がるから買う」というサイクルに入っていると考えることも可能です。

そもそも通常の通貨であれば、その国の経済状況など云わば「国力」が通貨価値を裏書しています。しかし、仮想通貨にそういったファンダメンタルズの裏付けはありません。仮想通貨の本質的価値とは、将来的により便利で普遍的な通貨として普及するだろう、という期待にこそあるのです。実際に使用できる店舗は増えているではないか、との反論もあるでしょうが、それもこれから普及するという期待があるからこそ、です。筆者は仮想通貨の革新性や利便性をむしろ高く評価していますが、それが普及するかどうかはまた別問題であると考えています。そして、「買うから上がる、上がるから買う」というサイクルは、過去に何度かバブルを経験してきた筆者からすれば、かつて見た光景であることも確かです。音楽が鳴っている間は踊り続けた方が有益であることに異論はありませんが、音楽は往々にして突然鳴り止み、気付くと座る椅子が残っていないということもまた多々あるということを再度確認しておきたいと思っています。

そして、先物上場などで機関投資家の参入に期待する声もありますが、筆者はこうとも受け止めます。つまり、「先物や派生商品を使った本格的な売り仕掛けも可能になる」と。また、数多く分裂して何種類も存在すればするほど、仮想通貨自体の汎用性や普遍性にはむしろマイナスになる懸念も否めません。これは仮想通貨の本質的価値である「将来の期待」に対して水を差す可能性もあるでしょう。一方向の期待・観測が浸透している現在だからこそ、その逆側の観測もまた留意しておくべきではないか、と考えます。ちなみに、前回に仮想通貨を取り上げた際には、「仮想通貨に期待されるメリットは、ひょっとすると「フィンテック」関連でかなりカバーできる可能性もあるのでは」と指摘しました。実際、メガバンクはAI対応を急ぎ、世界中でネット決済が急速に進行し始めています。筆者は依然としてこの見方を継続したいと思います。

コラム執筆:長谷部 翔太郎(証券アナリスト)

日系大手証券を経て、外資系投資銀行に勤務。証券アナリストとして、日経や米Institutional Investors誌などの各種サーベイで1位の評価を長年継続し、トップアナリストとして君臨する。外資系投資銀行で経営幹部に名前を連ねた後、現在は経営コンサルティング会社を経営する。著述業も手がけ、証券業界におけるアナリストのあり方に一石を投じる活動を展開中。著作は共著を中心に多数。

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