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特集2

2017年12月06日

第242回 知的財産権保護の強化に向けての動き 【北京駐在員事務所から】

中国で生活していますと、知的財産権の管理、保護が日本と比べて相当に緩い、あるいはいい加減であることを痛感します。
北京市内には、主に衣料品を扱う小規模の商店が集まった市場のような商業施設があちらこちらにあるのですが、中で目を引くのが欧米の有名ブランドのコピー商品です。
衣料品やバッグなどに加え、時計などもとんでもない安値で売られています。
もちろん経験はありませんが、このような商品を購入して日本に持ち込むと、税関で即没収となるのだろうと想像しています。

また、ネット上では日本のテレビドラマや音楽作品が見放題、聴き放題で、さらには映画、音楽のDVDやCD、さらにビジネス用のコンピュータソフトなども、海賊版が巷に溢れていると言われているほか、企業活動における特許権や商標権の侵害も日常茶飯事のようです。

中国政府で知的財産権の管理と保護を担当する国家版権局は、本年7月より、知的財産権保護のための全国キャンペーンを展開し、不正行為の摘発を進めてきました。
ネット関連では、問題が疑われたウェブサイト55,000件について審査を行い、1,655件のサイトを閉鎖し、274,800件のリンクを削除しました。
また、ネット以外では、150万点以上の書籍、CD、DVDを押収しました。
ネット上の著作権侵害で、特に悪質性が高いと判断された314件については、国家版権局が直接詳細な調査を行いました。314件中、37件については各地元の警察も捜査に加わりました。
特にやり玉に挙げられたのが、映画やテレビ番組の違法配信サイトです。
上海市に隣接する江蘇省と浙江省の当局は、30,000作品以上の映画を違法に配信し800万元(約1.4億円)もの利益を上げていたサイトを摘発したほか、北京市でも562件のサイトで配信されていた20,856作品を削除しました。
違法な音楽配信アプリも捜査対象となり、中部内陸部の重慶市では、事業者に2万元(約35万円)の罰金が科せられました。
さらには、ネット通販サイトでコピー商品を販売していた業者にも捜査の手が及び、あるサイトの運営者には3年間の禁固刑と17万元(約290万円)の罰金が科せられたそうです。

当局主導のキャンペーンは、2005年から行われており、主にインターネット上での音楽、映画、文学作品、ゲーム、ソフトウェア等の著作権保護を目的としていますが、近年では商標権、意匠権等にも対象を広げています。今年のキャンペーンは年内一杯行われる予定です。
インターネット上の調査対象だけでも、ウェブサイトのほか、アプリ、SNSなど様々で、実を挙げるのは大変です。関係者の努力により、知的財産権の適切な保護が図られるよう、願いたいと思います。

交通違反や汚染物質の違法排出等の事例でも感じるのですが、中国では違法行為に対する刑事罰あるいは行政罰が総じて軽く、「やったもの勝ち」になっています。
特に、知的財産権の保護については、北京など都市部ではかなり認識されているように思われるものの、地方に行くほど、取締りを行うべき政府あるいは警察も意識が低く、やりたい放題の状態になっているそうです。
目ざとい者ほど、短期間で稼いで、捜査の手が及ぶ前に新たな地に移り、また悪事に手を染めるという「いたちごっこ」あるいは「モグラたたき」の様相を呈しています。
日本企業にとっても、中国で事業を展開する上での重大なリスク要因になっていると思われます。世界第二位の経済大国として、中国にはより高度な責任を自覚して欲しいものです。

知的財産権の問題から、中国でのビジネスにおける様々な問題が透けて見えるように思います。

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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所長

マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト

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