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特集2

2018年01月10日

第246回 レンタサイクルのサービスは早くも正念場か? 【北京駐在員事務所から】

新年おめでとうございます。
今年も、北京より中国の最新の動向について、いろいろとご報告申し上げたく思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。

2018年最初の話題は、昨年急速に広がったレンタサイクル(バイクシェアリング)のサービスに関する直近の状況です。
中国で地歩を固めた大手の事業者は海外展開にも積極的で、オレンジ色をシンボルカラーとするMobikeは昨年8月に札幌でサービスを開始したほか、このほどLINEと提携し、LINEのアプリでレンタル自転車を利用できるサービスを展開すると発表しました。
スケールの大きな話が相次いで報じられています。

一方、お膝元の中国では、路上に自転車が溢れ歩行者の通行を妨げる、壊された自転車が街のあちこちに放置される、さらにはサービスの利用開始時に徴収される保証金(100元から300元、日本円で数千円程度)が解約時になかなか返金されない等、トラブルも頻発しています。

このほど、南部広東省の消費者利益保護委員会(日本の消費生活センターに相当します)は、レンタサイクル「小鳴単車」の運営会社である広州悦騎に対し、保証金の使用状況の開示と、解約時の円滑な返還を求め訴訟を提起しました。
レンタサイクルのサービスに関する、全国で初めての訴訟と見られています。
消費者利益保護委員会には、広州悦騎のサービスの利用者から、保証金の返還や情報開示に関する苦情が、昨年8月以降だけで3万件以上寄せられているそうです。
委員会は、多くの利用者が、保証金が不適切な用途に向けられていないか心配していると発表しています。
広州市の中級人民法院は、本件訴訟を受理しており、近く原告、被告の双方から聴聞を行う予定です。

政治学を専門とする大学教授は、レンタサイクルのサービスについて、「消費者の権利や経済的利益は法令で守られる必要がある」と述べ、政府部門がより厳しい規制を課し、運営会社の事業、サービスの標準化を進める必要があるとしています。
また、サービスの利用者からは、レンタサイクルを手軽で便利な移動手段として評価する声が上がる一方、保証金の使途等事業全般について、透明性を高めて欲しいとの指摘がされています。
レンタサイクルは、利用料金が30分ないし1時間につき1元(約17円)程度と安価なため、事業者にとっては利用状況のビッグデータの販売に加え、保証金の運用が重要な収益源になっているとされます。
先月には、北京で大手の二社に次ぐプレゼンスを見せていたBluegogoの運営会社小藍単車が経営に行き詰まり、同業他社への身売りを余儀なくされました。
今後も事業者間の合従連衡や、一部企業の経営破綻などが起こりそうです。
サービス拡大など景気の良い話が乱れ飛んでいたレンタサイクル事業ですが、ここに来て一気に逆風にさらされています。

北京でも、ここ数ヶ月の間に、サービスに供される自転車がさらに増え、通行の邪魔となったり、破壊されたまま野晒しになったりという場面を多く目にするようになりました。
多くの一般市民にとっては、利用者としては「便利でありがたい」である一方、歩行者としては「鬱陶しくて邪魔」なのでしょう。
予想された通りとも言えますが、利用者のマナーが追い付かず、本来意図された形での利用がされていない状況となっています。
もちろん事業者の側にも問題があり、利便性のためには望ましくはないのでしょうが、来年はさらに規制強化の方向に向かわざるを得ないものと思われます。

とは言え、中国の「とにかくやってみる。問題が生じた場合には後から修正する」が経済の活力になっていることも否定できず、ちょっとうらやましくもあります。
レンタサイクルのサービスは早くも正念場を迎えていますが、どのような形で問題解決が図られるのか、観察を続けてみたいと思います。

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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所長

マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト

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